技術職 1
好きなパチンコの、見える部分をつくりたかった。
以前は電子部品メーカーに勤務。新規事業として自社ブランドの音響機器を発売することになり、その電気設計を担当していました。でも、オーディオが趣味でない私には、マニア向け過ぎて、よく理解できない世界。社内でのその事業の先行きも不安で、転職を決意したんです。真っ先に浮かんだのが、好きなパチンコ台の設計でした。同じくパチンコ好きの父に、完成した台を見せて、「この部分を自分がつくった」と胸を張れる仕事がしたかったことも理由です。最初はパチンコメーカーを考えましたが、当時35歳の業界未経験者には狭き門。そこで部品メーカーまで視野を広げて見つけたのが、この会社でした。電動チューリップやアタッカーなど、見える部分に携われることが魅力で、入社を決めました。
お客様の要望を自分で聞いて設計し、責任持って届ける。
仕事はひとことで言うと、電動チューリップやアタッカーの設計です。
特徴的なのは、会社の戦略として、設計も営業と一緒にお客様のところ(パチンコメーカー)に出向き、じかに要望を聞いたり折衝をしたりするという点。お客様の要望に基づいて、自分で形状や機能、素材、強度、量産のしやすさなどを考えて設計図を書き、試作と試験を繰り返します。仕事は幅広いですが、たとえば試作と試験を分業すると、意図が伝わり切らない場合もあるもの。お客様の声をじかに聞いた人間が、一貫してやるメリットが大きいんです。
お客様に迷惑をかけず、確実に、スムーズに仕事を進める。
パチンコメーカーだけでなく、その先のホールやパチンコユーザーのことまで考えて仕事をしていますが、中でも直接のお客様であるパチンコメーカーには迷惑をかけないように心がけていますね。「量産時に不良を出さない」「納期を守る」といったことは当然ですが、ムリなことはムリと言うことも大切。もし「やります」と答えて結果的にできなかったら、よけいに迷惑がかかってしまう。「1週間ではできませんが、この日なら確実です」と代替案を提示しています。
自分が担当した機種を打っている人を、ホールで見かけたとき。
やはり何と言っても、手がけたものが世に出て、ホールで打っている人を見ると、うれしくなりますね。でも、この仕事に就いてから、「万が一、何かあったら」と思うと、自分の設計した部品が載った台は打てなくて、もっぱらパチスロです(笑)。とはいえ、その何かが起きないように、検証や工夫を重ねているんですよ。電動チューリップやアタッカーの場合、いちばん問題となるのは球詰まりですが、たとえばチューリップの羽根などは、対称な形だと、同時に両方から球が入った時、つっかえて動かなくなる可能性がある。そこでわざと非対称に設計します。右打ちする台かそうでない台かで、球が主にどちらの方向から来るかも考慮し、入賞した球をスムーズに処理できるような設計にする必要もあります。経験値を積むほど、これらのことが難なくできるようになっていくのも、この仕事の面白いところです。
機能とデザインの要求を実現するため、試行錯誤。
電動チューリップやアタッカーには、3年間故障しない耐久性と、球が詰まらず流れる動作の安定性が求められます。ところが、球はほぼ真球なのに、シミュレーションの通りには動いてくれません。試作して試験を行い、球が詰まれば、わずかに削ったりくっつけたりして、また試験をする、その地道な繰り返しです。また、小さな部品ですが、お客様からは、デザイン面でも立体的に凹凸をつけてさまざまな表現をしたいという要求が寄せられます。厚さ2oの樹脂の板に、許される凹凸は±1o。CAD図面で拡大すると美しく見えるデザインでも、実際のサイズになると、イメージと違うということも。ときには早い段階で試作品をつくって実物大で確認していただきながら、こだわりの強いパチンコメーカーのデザイナーの方のイメージを実現しています。
やりたいと思ったことに、挑戦させてもらえる環境!
「こういうものをつくりたい」とか「こんな電動チューリップがあればいいな」と考えついたら、社長を納得させられれば、自主的に開発することができます。もちろんそのためには、日常業務を進めながら、自分の努力で余力をつくらなければなりません。かけられる予算も限られています。でも、もし試作にお金がかかるなら、自分で切削の機械を使って自作してみるなど、自分の工夫次第で可能になるはずですよ。それから、同業でも規模が大きい会社だと、設計の中にも一軍と二軍があり、二軍はなかなか主要機種を任せてもらえないという話を聞いたことがあります。少人数の当社なら、そんなことはありませんよ。
お客様に多彩な選択肢を提案できる技術者に。
当社の設計の仕事は、幅広い知識が必要です。私はもともと電気設計が専門ですが、当然、機械設計の知識も必要。さらに、樹脂部品の表面を美しく飾るための、メッキや箔押し、シルク印刷、蒸着、レーザー剥離、シール、インクジェットでの塗装といった二次加工に関する知識も必要です。部品の形状によっては、たとえば塗装がきれいにできないなど、支障が出ることも。お客様から「こんなイメージを表現したい」と言われたとき、「こうすればばできる」「この方法だとこんな問題があるからこっちの方が適している」「その加工をするなら部品を分割した方がいい」など、最適な方法を提示できるだけのノウハウのストックを持った技術者になることが、今の目標です。
パチンコが好きで、長く続ける意欲がある人。
やはりパチンコ好きな人がいいですね。クルマに乗らない人が、クルマをつくろうとは思わないでしょう。パチンコの設計も、ずっとやっていこうと思ったら、好きじゃないと続けられないと思います。それ以外に必要なのは、理系の素養があること。そしてパチンコ業界特有の法律や規制を、柔軟に受け入れられること。業界経験がある即戦力ならそれにこしたことはありませんが、未経験でも、一から覚えて、この先長くやっていく気があるなら、しっかり教えますよ。